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一億総活躍国民会議で示された「処遇改善と人財確保策」を理解しておきましょう
2016年05月26日

安倍首相が介護職の待遇改善を指示

2016年4月26日に開催された、一億総活躍国民会議(以降、「本会議」と呼ぶ)。安倍首相はこの場で、「介護職員の賃上げを来年度から実施する」との意向を表明されました。具体的には、「月1万円程度」の改善を計画。ここには、介護サービスを支える人材を確保し、目標とする「介護離職ゼロ」を実現する環境を整備する狙いが盛り込まれています。

今月のニュースレターでは、上記発言を含め、本会議にて議論された「処遇改善と人財確保策」の背景や内容について確認してまいりたいと思います。



処遇改善・人財確保策の内容は

先ず、本会議の総括としての安倍首相の言葉を確認しておきましょう(以下、関係する部分のみ抜粋)。

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「本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。保育・介護人材の確保のためには、ニッポン一億総活躍プランにおいて総合的な対策を取りまとめることが必要です。第一に処遇改善、第二に多様な人材の育成・高齢者等の活用、第三に生産性の向上を通じた労働負担の軽減、やりがいを持って安心・快適に働ける環境の整備といった点について、財源を確保しつつ、2017年度から実行します。保育士の処遇改善については、新たに2%相当の処遇改善を行うとともに、キャリアアップの仕組みを構築し、保育士としての技能・経験を積んだ職員について、競合他産業との賃金差がなくなるよう処遇改善を行います。介護人材の処遇改善については、キャリアアップの仕組みを構築し、競合他産業との賃金差がなくなるよう処遇改善を行います(以降、割愛)。今回で、個別のテーマについての議論が終了しました。来月中にニッポン一億総活躍プランの閣議決定ができるよう、加藤大臣におかれましては、石原大臣やまた、塩崎大臣始め関係大臣と協力して、作業を加速していただきたいと思います。」
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この言葉の背景となった資料を確認していきたいと思います。先ずは、一つ目の資料です。
※最下部の資料1をご覧ください

文字が小さくて読めないかもしれませんので補足させていただきますと、右側が介護福祉士の退職理由を示したグラフとなっています。左から順に「結婚、出産・育児(31.7%)」「法人・事業所の理念や運営(25.0%)」「場の人間関係(24.7%)」「収入23.5%」」「心身の不調(腰痛を除く)、高齢(22.0%)」「労働時間・休日・勤務体制(18.9%)」「腰痛(14.3%)」2項目とんで「将来の見込みが立たなかった(12.2%)」と続いている状況です。

政府はこのデータを受け、次のような課題認識を形成しています。

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「介護では2020年代初頭までにさらに約25万人の人材を確保していく必要がある中、介護福祉士の退職理由を見ると、低収入であることが依然として高い割合を占めている」「そのほかにも、労働時間、仕事量などの勤務環境や雇用管理に関わる理由や、体力的な理由も多い」「また、将来の見込みが立たないことを理由とするなど、キャリアパスが見えないことや、介護では職員が経営理念を共有できないことが課題」
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続いて、次の資料です。
※最下部の資料2をご覧ください

この資料は、「平成27年度介護報酬改定において、一人当たり月額平均1.2万円相当の処遇改善加算の拡充を実施したところ、事業所独自の自主努力を含め、加算額以上(1.3万円)の処遇の改善がされている」ことを示しています。その意味では、政府の政策誘導は「順調に推移している」と言えるのかもしれません。

しかしながら、他サービス産業の平均給与に比べるとまだ約1.2万円程度の開きがあると言われており、この差を縮小・解消させるべく、「平均で月額1万円程度の賃上げ」という方針を首相が表明した、というのが上記発言の経緯です(この経緯は是非、おさえておいて下さい)。

そして、最後の資料は、今後、処遇改善と合わせて政府が注力する人財確保策をまとめたものです。是非、政府が何に注力しようとしているか?について、あらためて確認をしていただければと思います。
※最下部の資料3をご覧ください



今後、検討すべき方向性とは

今後、事業者が存続・発展できるかどうかは、「良質な従業員を確保・育成できるかどうか」に大きく影響されるであろうことについては、皆様も異論はないかと思います。

その為には、ワーク・ライフ・バランス等も視野に入れた「働きやすい組織」づくりと共に、「働きがいのある組織」づくりが不可欠です。是非、上記施策や政府の方向性を有効活用しつつ、自社独自の工夫も凝らしながら、攻めの姿勢で人を「集める」工夫を展開していただければと思います。

我々も今後、今以上に人財確保・定着・育成に有効な施策を開発してまいりますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

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