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国がまとめた「保険外サービス」に目を通しておきましょう
2016年04月26日

行政が「保険外サービス」ガイドブックを取りまとめ

2016年3月31日、厚生労働省、経済産業省、農林水産省、3省共管のもと、「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集~保険外サービス活用ガイドブック~」が発表されました。

今後、保険外サービスの重要性が益々増してくる」との認識のもと、弊グループとしては2年以上前から情報収集・発信してまいりましたが、国が本テーマについて(ようやくながらも)本格的に着手を始めた事は、業界として大変意義深い事だと捉えています。

今月は、同資料の概要について確認してまいります。




保険外サービス活用ガイドブックの概要

本資料の「はじめに」の部分には、次のような文章と共に、整理された体系図(※)が載っています。
※体系図は最下部の図1をご覧ください

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本事例集は、全ての高齢者向けの保険外サービスの事例を調査したものではないが、サービス分野として、見守り、食、買い物といった基本的な生活を支える分野に留まらず、旅行・外出や趣味なども含め、幅広い領域の事例を取り扱うことを心がけた。とりわけ、「加齢によってできなくなったことのカバーする」すなわち、「マイナス状態をゼロに戻す」サービスに限らず、介護予防や介護状態の改善につながるものや、「ゼロからプラス」の喜びや楽しみにつながる、つまり、QOL の向上に寄与するサービスを積極的に取り上げている。なぜなら「高齢者が住みなれた地域で暮らし続ける」ということは、衣食住の最低限の生活が保障されるとともに、一人ひとりの高齢者が、できるだけ健康な状態であり続け、生きがいや楽しみをもって、生き生きと地域で暮らせることが必要だと考えるからである。したがって、比較的元気な段階の高齢者を対象としたものから、介護が必要な高齢者を対象とするものまで幅広く取り上げるようにしている。さらには、高齢者本人向けのサービスに留まらず、介護者や高齢者の子供など家族を支えるサービスについても取り上げている。 また、様々な地域において参考になるように、都市部中心のサービスに偏ることなく、都市部以外での事例も取り上げている。さらに、事業者についても、介護保険サービスを手掛ける介護事業者から、一般的な民間サービスを提供する企業、事業主体の規模についても、大企業から中堅・中小企業、NPO法人まで、なるべく、事業主体の多様性・バラエティが保てるように留意した。これらの多様なサービス目的・分野・対象・地域・主体の中から、以下のような点に着目して事例を抽出し、対面や電話でのインタビュー、書面でのアンケートを行った。

1)取組みの先駆性
  今後の保険外サービス開発の参考になる、特徴・ユニークな点があること

2)横展開の可能性 特定の地域・立地特性に限らず、他の地域でも展開の
  可能性があること

3)地域連携、ネットワークの活用 自治体や同業他社、異業種の他事業者、
  NPO等との連携関係を築き、うまく活用していること

4)ビジネスの持続可能性 事業としての採算確保に関する工夫がなされており、
  事業として継続性が考慮されていること

本書で取り上げる事例は、保険外サービスの中でもごく一部のものであり、本事例集に掲載したもの以外にも、まだまだ多くの魅力的な保険外サービスが存在する。また、一つ一つの事例が上記の4点全てを満たしている、というわけではない。しかし、本事例集では、上記の4 点を中心に、事業者にとって、あるいは自治体や介護関係者にとって、何がしかの示唆や学びがあると考えられると推察される事例を取り上げた。

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上記説明、及び体系図の後には、39にも亘る事例が紹介されています。

是非、全ての事例に目を通していただきたいと思いますが、中でも先進性を感じたのは39番目、「株式会社エムダブルエス日高」が展開する「“産業ソーシャルワーカー”BtoB受託事業」。介護離職が社会問題となる中、企業の福利厚生の一環として、介護のプロ(=居宅介護支援事業所)が一般企業と契約し、社員に対して家族介護相談機会を提供(=産業ソーシャルワーカー機能)することで、優秀な社員の介護離職を防ぐ、という価値を提供しています。




保険外サービス護予防事業を行っている会社として、今後、検討すべき方向性とは

上記以外にも様々な切り口や形態が存在している「保険外サービス」ですが、取り組みを検討するにあたっては、自社を「商品」視点ではなく、「機能(価値)」視点で棚卸しすることが必要です。

「自社の商品はデイサービス(訪問介護)である」という考え方ではなく、「自社は、デイサービス(訪問介護)を通じてどんな価値を提供しているか」「デイサービス(訪問介護)で提供している価値・強みをもっと活かして、ご利用者やご家族が『そのサービスを是非、提供して欲しい』と感じるサービスをつくれないか」或いは、「自社の持つ価値・強みが、ご利用者やご家族以外の方々に役立たないか(上記“産業ソーシャルワーカー”発想etc)」等々に頭を巡らせながら、制約条件にとらわれることなく、自由にアイデア出しをしてみていただければと思います。

我々の中には、上記ガイドブック以外の発想・アイデアも様々蓄積されています。今後、機会を見ながら、皆様にもそのような情報をお届けしてまいりたいと思います。




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