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処遇改善に対する心構え
2015年02月26日

いよいよ報酬改定情報が開示

2015年2月6日の介護給付費分科会において、遂に2015年4月の報酬改定情報が開示されました。病院・診療所からの訪問看護以外のサービスは実施的に減収。中でも小規模デイは約10%、特養の多床室はそれ以上の基礎報酬がダウンする等、事業者によっては経営の根幹から見直しを迫られる状況になっています。

先ずは現時点においてどれぐらいの減収になるかを冷静に分析し、具体的な数値としてとらえることが何より重要です。その上で、それらをリカバリーするための対策をキッチリと練らなければなりません。厳しい状況ですが、しっかりと向き合っていくしか道はありません。是非、乗り越えていただきたいと思います。

今日は、今回の報酬改定の中でも大きな変化となった「処遇改善加算」についてみておきたいと思います。





大きく変わる処遇改善

2015年4月から導入される処遇改善加算の仕組は、下記の通りです(最下部の「◆処遇改善加算の仕組◆」の図をご確認ください)。

今回は新たに加算(I)が新設され、従来の加算(I)は(II)に位置づけられましたが、注目すべきはその加算率です。

従来の加算(I)(=今回の加算(II))のままでも加算率は20%程度上昇していますが、新設された加算(I)は、従来の加算(I)と比較すると、なんと、倍以上の加算率設定となっています。加算(I)を取得するための要件は、キャリアパス要件(I)(=キャリアパスと賃金規定の策定)と(II)(=よりがたい場合として、研修計画の策定や資格取得の支援を行うこと)の両方を同時に満たすこと、です。今までは(I)もしくは(II)のいずれかを満たせば最も高い加算率を選択することが出来、結果、大半の事業者が従来の加算(I)を取得することで、いわゆる「横並び(=事業者によって賃金格差が生まれない)」の状況となっていました。

しかし、これからは、そうは行きません。新設された加算(I)を取得する事業者と、現状のままのスライドとして加算(II)(=従来の加算(I))を取得する事業者とでは加算報酬に大きな差が生まれ、職員の待遇にも大きな違いが出てくる可能性があります。

それらは人材募集の広告記事の中で「時給の違い」「基本給の違い」として表れてくることも十分に考えられるでしょう。そうなると、新設の加算(I)を取る事業者にとって有利な環境が生まれてくることは言うまでもありません。

以前からお話させていただいてきた通り、正に国の意向を理解して「頑張る会社」と「頑張らない(or頑張れない)会社」との間で差をつけていくことにより、「もっと頑張らなければ」というインセンティブを高める事、逆に言うと「頑張らない(頑張れない)会社」は報酬ダウンだけではなく人員確保の面においてもますます厳しい環境に置かれる可能性が高い、ということを、この段階において事業経営者は冷静に認識しておく必要があると言えるでしょう。




キャリア段位制度導入も選択肢の1つ?

上記の通り、新設のキャリアパス要件(I)を満たすことが出来ない事業者にとっては厳しい環境になることが想定されますが、とはいえ拙速にキャリアパスや賃金制度を構築することも好ましくはありません。

そんな中、国が推進している「キャリア段位制度」を導入する、という考え方も、一つの選択肢としては有効でしょう。
ポイントは、「この制度を導入すれば、キャリアパス要件(I)の「介護職員の職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めている」ことを満たす、という読み替えが行われていること、換言すると、この制度を導入することで、新設の加算(I)の取得が容易になる、ということです(ただし、賃金規定を定める事、及び、それらの導入について、就業規則等の明確な根拠規程で書面整備し、職員に周知させることは別途必要となります)。
キャリア段位制度は施設・在宅に関わらず、全サービス共通の仕組となっており、それ故「自社のサービスにジャストフィットしていない」という意見も一方では聞かれますが、その点は、不足項目については自社で考え、付け加えて活用する、という方法で補うことも可能です。加えて、本制度導入にあたっては、助成金も活用可能です。申込は去年までは年に1回で、昨年の受付開始は2014年5月12日でした。今年も導入事業者の募集が行われると思いますので、是非、そのタイミングを逃さずに確認いただきたいと思います。我々も情報を入手次第、皆様に告知をさせていただきます。
キャリア段位制度 → https://careprofessional.org/careproweb/jsp/


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