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全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議のポイントを確認しておきましょう
2023年03月31日

2023年3月8日「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」が開催

2023年3月8日、全国の自治体の担当者を対象に、厚労省より次年度の方針が伝達される「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(通称担当課長会議)」が開催されました。

総務課・介護保険計画課・高齢者支援課・認知症施策・地域介護推進課等の老健局内の課は勿論、「地域包括ケア」「地域共生社会」のキーワードのもと社会・援護局からの情報や、介護職の環境改善をテーマに雇用関連局・課からの情報も発信される等、多種多様な情報が詰まった会議となっています。

今回は、その中から2点ほどのテーマを取り上げて確認すると共に、読者の皆様に具体的な活用イメージを持っていただきたく、情報をお伝えしてまいります。




「担当課長会議」ピックアップした2点のポイントとは

では、早速、内容の確認に入ってまいりましょう。
先ずは総務課の資料のp21・p22に記載されている「介護職員の働く環境改善に向けた政策パッケージについて」というテーマについてです(特に重要と思われる箇所は太字としています。以下同じ)。
始めの抜粋は、本テーマに関する岸田首相の発言です。

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全世代型社会保障構築本部(第4回)(2022年11月24日)
○岸田首相発言
今後、労働力人口の減少が見込まれる中で、介護分野における人材確保、これは重要な課題です。介護サービス事業者における生産性の向上と働きやすい職場環境づくりのため、厚生労働大臣において、全世代型社会保障改革担当大臣との連携の下、優良事業者への表彰、経営の見える化、介護ロボット・ICT機器の導入促進を含めた総合的な政策パッケージについて、年末までに取りまとめていただきたいと思います。

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全世代型社会保障構築本部(第5回)(2022年12月16日)
○「介護職員の働く環境改善に向けた政策パッケージ(案)」(厚生労働大臣資料)提出
○岸田首相発言
本日報告のあった『介護職員の働く環境改善に向けた政策パッケージ』については、総理表彰を含めて、これに基づき、取組を進めていただきたいと思います。
人口減少の流れを変え、超高齢社会に備えるため、足元の課題とともに、中長期的な課題について、時間軸と地域軸を持ち、全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服するための取組を着実に進めるよう、各大臣においてはしっかりと御対応をお願いいたします。

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首相自らがこのような発言をされるということは、国策的にも大変重要な課題として認識されている、という理解をしても差し支えないかと思います。

次に、上記のような背景を受け、大きくは2つの論点が示されています(下記)。

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○ 持続的な介護職員の待遇改善を実現するためには、個々の事業者における経営改善やそれに伴う生産性の向上が必要であり、具体的には、取組の横展開や働きかけの強化等、総合的に取り組むことが重要。
○ 中小事業者も多い、介護事業者の職場環境づくりを全政府的な取組と位置づけ、自治体や事業者も巻き込んで推進し、その成果を、従業員の賃金に適切に還元していただくことについて期待。

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その上で、上記の具体策として3つの大項目、及びそれらに紐づく形で8つの取り組みが明示されています。

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(1)総合的・横断的な支援の実施
1. 介護現場革新のワンストップ窓口の設置
事業者への様々な支援メニューを一括し、適切な支援につなぐワンストップ窓口を各都道府県に設置。中小企業庁の補助金の活用促進。
2. 介護ロボット・ICT機器の導入支援
課題に対応した代表的な導入モデルを紹介するとともに、①のワンストップ窓口と連携して、相談対応、職員向け研修など伴走支援を進める。

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(2)事業者の意識改革
3. 優良事業者・職員の表彰等を通じた好事例の普及促進
職員の待遇改善・人材育成・生産性の向上などに取り組む事業者・職員を総理大臣が表彰等する仕組みを早期に導入し、優良事例の横展開を図る。
4. 介護サービス事業者の経営の見える化
介護サービス事業者の財務状況や処遇改善状況の見える化を進め、経営改善に向けた動機付けを進める。

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(3)テクノロジーの導入促進と業務効率化
5. 福祉用具、在宅介護におけるテクノロジーの導入・活用促進
在宅介護の情報共有や記録の円滑化などについて、調査研究を進め、活用を促進する。また、福祉用具貸与等の対象種目の追加について、評価検討を進める。
6. 生産性向上に向けた処遇改善加算の見直し
未取得事業者の取得促進を図るとともに、加算手続の簡素化や制度の一本化について検討。
7. 職員配置基準の柔軟化の検討
実証事業などでのエビデンス等を踏まえつつ、テクノロジー導入に先進的に取り組む介護施設における職員配置基準(3:1)の柔軟な取扱い等を検討。
8. 介護行政手続の原則デジタル化
今年10月から運用開始した電子申請・届出システムの利用原則化に取り組む。

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「介護職の不足」というテーマは今に始まったわけではありませんが、(繰り返しになりますが)首相自らが発言された、ということを踏まえ、国や自治体から今後、様々な取り組みや働きかけが加速してくるものと思われます。それらの情報をどう有効活用できるのか?経営者としての是非、注目する必要があるのではないか、と考える次第です。

続いて2つ目のテーマ、「サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム等における適正なサービス提供について」です。こちらも資料からの抜粋を記載させていただきますのでご確認ください。

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(5)サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム等における適正なサービス提供について
サービス付き高齢者向け集合住宅や住宅型有料老人ホーム等といった高齢者向け住まい(以下「高齢者向け住まい等」という。)は、高齢者の多様な住まいのニーズの受け皿として重要な役割を果たしている一方で、併設する介護サービス事業所の一部には過剰なサービスを提供する等様々な課題も指摘されています。
さらに、令和3年度介護報酬改定作業における社会保障審議会介護給付費分科会においてとりまとめられた審議報告において、高齢者向け住まい等における適正なサービス提供を確保するため、介護保険サービスが入居者の自立支援や重度化防止につながっているかの観点も考慮しながら、指導監督権限を持つ自治体による更なる指導の徹底を図ることとされました。
これを踏まえて、「高齢者向け住まい等における適正なサービス提供確保のための更なる指導の徹底について」(令和3年3月18日付け老指発0318第1号、老高発0318第1号、老認発0318第1号厚生労働省老健局総務課介護保険指導室長、高齢者支援課長、認知症施策・地域介護推進課長連名通知)が発出され、
1. 高齢者向け住まい等における家賃等入居契約内容の確認やケアプランの点検・検証
2. 区分支給限度基準額の利用割合が高い居宅介護支援事業所のケアプランの優先的な点検・検証
をお願いするとともに、高齢者向け住まい等に併設する事業所に対する実地指導を併せて実施する場合には、指導体制整備を支援する「高齢者向け集合住宅関連事業所指導強化推進事業」(予算補助事業)が活用できる旨の周知を行ったところです。
これらの介護サービス事業所に対する重点的な指導が推進されるよう、「高齢者向け集合住宅関連事業所指導強化推進事業」を令和5年度予算(案)においても引き続き計上しています。各自治体の指導監督体制の効果的な指導の観点からも、本事業の積極的な活用について検討をお願いします。

〔事業概要〕
・高齢者向け住まい等(以下「集合住宅」という。)の入居者に介護サービスを提供している事業所に対して重点的に実地での指導を行う場合に、介護支援専門員等の雇上経費及び旅費等に要する経費を補助
・事業の一部を指定都道府県事務受託法人(介護保険法第24条の3第1項第1号又は指定市町村事務受託法人(同法第24条の2第1項第1号)へ委託することは可能)
・補助基準額は、1自治体あたり次の表のとおり実地での指導を行う集合住宅関連事業所数ごとの上限とし、予算の範囲内で交付するものとする。

※下記表をご覧ください。※

https://carebp.com/img_useful/img_131_1.jpg

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本内容については今年度も存在しており、来年度もそれらが踏襲される形となった訳ですが、あくまで私見の域を出ないものの、ここ数年間、コロナ禍において中々運営指導(旧・実地指導)が思うように実施できなかった分、来年度以降はその反動含め、かなりの運営指導が為されるかもしれないな、と感じるところです。

無論、適正な運営をしていれば何ら問題はありませんが、住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅を介護サービス併設で経営されている事業者の方は、あらためて自社内の点検を早めに開始しておいた方が安心なのではないか、と感じた次第です。




行政関連の情報や風、トレンド等を自社の経営に反映させる

以上、膨大な情報の中から2点ほどのテーマをピックアップしてお伝えさせていただきました。

取り組まれているサービスによって、或いは関心事によって、注目すべき情報は異なるかもしれません。その意味では是非、各資料の先ずは目次等を確認し、気になる箇所については個々に一読されたほうがよろしいかと思います(その上で必要であれば、担当課長会議の説明動画が掲載されている厚生労働省動画チャンネル[YouTube] をご覧いただくと、更に理解が進むかもしれません)。

行政関連の情報や風、トレンド等を事前にキャッチし、自社の経営に反映させていく───是非、早めに動かれることをおススメする次第です。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31512.html
https://www.youtube.com/playlist?list=PLMG33RKISnWgUAaZZcdVzQhREmPogxrjP


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