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「全世代型社会保障構築会議」の議論のポイントについて確認しておきましょう
2023年01月31日

2022年12月16日「全世代型社会保障構築会議」報告書が公表

昨年の2022年12月16日に開催された、「全世代型社会保障構築会議」。ここでは今までの議論が集約された「報告書」が公表されました。

社会保障領域において最も“風上”の議論と言っても過言ではない同会議。その意味でも本会議の取りまとめである同報告書は、2024年度の介護保険法改正に少なからず影響を与えることは間違いないと言えるでしょう。

今回のニュースレターではあらためて、本報告書の中から介護事業者の皆様にとって直接的に関係してくるであろう内容を抜粋し、お伝えしてまいります。




介護事業者がおさえておくべき内容・ポイントとは

では早速、内容確認に移ってまいりましょう。
先ずは、介護業界に対する社会保障全体からの大きな方向性についてです(特に重要と思われる箇所には太字としています。以下同じ)。

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超高齢社会への備えを確かなものとするとともに、人口減少に対応していく観点から、医療・介護制度の改革を前に進めることが喫緊の課題である。特に、2025 年までに 75 歳以上の後期高齢者の割合が急激に高まることを踏まえ、負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを早急に構築する必要がある。

○ 同時に、コロナ禍での経験は、今後の高齢者人口の増加と生産年齢人口の急減を前にして、限りある資源を有効に活用しながら、地域における医療・介護ニーズの増大に的確に対応することの必要性を強く意識させるものとなった。全ての国民が、それぞれの地域において、質の高い医療・介護サービスを必要に応じて受けることのできる体制を確保していく観点から、医療の機能分化と連携の更なる推進、医療・介護人材の確保・育成、働き方改革に力を注ぐとともに、医療・介護ニーズの変化やデジタル技術の著しい進展に対応した医療・介護サービス提供体制の改革を進めていく必要がある。その際、少子高齢化・人口減少などの状況は地域によって大きく異なり、求められる対応も地域によって異なることに十分留意する必要がある。

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「今日、最も緊急を要する取組は、『未来への投資』として、子育て・若者世代への支援を急速かつ強力に整備すること」「子育て費用を社会全体で分かち合い、こどもを生み育てたいと希望する全ての人が、安心して子育てができる環境を整備することこそ何よりも求められている」・・・・本報告書3pに明記されている内容の一部です。

高齢者に偏重していた社会保障を子育て・若者世代へと範囲を拡大することで、受益者(=恩恵を受ける人々)全員で支えあう仕組みを構築しよう(=少々穿った見方をすれば、上記改革により20代、30代にまで負担範囲を拡大し、より大きな安定財源を確保しやすいようにしよう)という姿勢が示されたことはポイントとして特におさえておいた方が良い内容かと思います。

次に、上記の方向性を背景に、介護領域について具体的に言及されたポイントを列記させていただきます。

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○ 介護保険は、制度創設以来、総費用が約4倍、保険料が約2倍と、医療保険をはるかに上回るペースで増加しており、今後、要介護認定率が高い 75 歳以上、さらには 85 歳以上の人口の急増が見込まれる。一方で、生産年齢人口が減少する中で、介護人材の不足が深刻化するおそれがある。
○ 高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の深化・推進を図るとともに、制度の持続可能性を確保するため、サービス提供体制や給付と負担の見直し、介護人材の確保が喫緊の課題となっている。

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◆ 地域包括ケアシステムの深化・推進
 単身・独居や高齢者のみの世帯の増加、介護ニーズが急増する都市部の状況等を踏まえ、それぞれの地域社会の実情に合わせた柔軟なサービスの提供によって、医療ニーズの高い中重度の要介護者を含めた要介護高齢者が在宅で生活できる介護サービス提供体制の整備が必要であり、ケアマネジメントの質の向上を図るとともに、地域の拠点となる在宅サービス基盤の整備と機能強化が求められている。また、総合事業について、担い手の育成や継続的に利用する者の選択肢の拡大の検討を含め、現行事業の受け皿整備や活性化を図ることが重要である。
 また、今後更に増加する認知症の方や、その家族、地域住民が、より長くいきいきと地域で暮らし続けることができるよう、それぞれの地域社会のニーズに応じて、多世代交流や就労的活動を含めた介護予防や社会参加の場の充実を図るとともに、認知症の方やその家族を含めた包括的な支援・権利擁護を図るため、相談支援や関係者との連携調整を担う地域包括支援センターの体制整備を推進する必要がある。

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◆ 次の計画期間に向けた改革
 介護現場における生産性の向上と働きやすい職場環境づくりは、逼迫する介護人材を確保するためにも必要であり、この観点から、
 ✓ 介護現場革新のワンストップ窓口の設置
 ✓ 介護ロボット・ICT 機器の導入支援
 ✓ 優良事業者・職員の総理表彰等を通じた好事例の普及促進
 ✓ 介護サービス事業者の経営の見える化
 ✓ 福祉用具、在宅介護におけるテクノロジーの導入・活用促進
 ✓ 生産性向上に向けた処遇改善加算の見直し
 ✓ 職員配置基準の柔軟化の検討
 ✓ 介護行政手続の原則デジタル化
 などを促進することが重要である。
 あわせて、人材や資源の有効活用の観点から、介護サービス事業者の経営の協働化・大規模化に向けた取組を一層進める必要がある。
 また、2024 年度からの次の計画期間に向けて、介護保険制度の持続可能性を確保するため、「骨太の方針 2022」や「新経済・財政再生計画 改革工程表 2021」、社会保障審議会介護保険部会等で指摘された課題(保険料負担や利用者負担の在り方など)について、来年度の「骨太の方針」に向けて検討を進めるべきである。

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(以上、抜粋終了)




内容の理解と共に、対応方法については早めの思考を

以上、今月は「全世代型社会保障構築会議」の報告書から、特に介護業界にとって直接的に関係するであろう内容を抜粋してご紹介させていただきました。

2024年度の法改正に向け、来年度からは介護給付費分科会の中で具体的改正案が議論されることになる訳ですが、本報告書に示された内容は同会議の中でも間違いなく重要な論点・テーマとして反映されることと思います。

その意味でも介護経営者の皆様はあらためて内容・ポイントを確認すると共に、対応方法について早めに思考を進めておいた方が宜しいのではないか、と思う次第です(中には思考のみならず早々に対応したほうがよいものもあるかもしれません)。

我々もしっかりと追いかけ、今後もタイムリーな情報提供を心掛けてまいりますので、引き続きよろしくお願い致します。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001025603.pdf






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