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介護職員の給与水準状況を確認しておきましょう
2022年03月30日

令和4年3月24日「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」が公表

年度末も間近に迫ってきた令和4年3月24日。厚生労働省は同日に開催された「社会保障審議会介護給付費分科会」において、介護職員の給与水準の把握を目的とした調査結果「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を公表しました。

本調査は全国1万3724の施設・事業所を対象とした大規模なもので、厚労省が昨年10月に実施し、8812施設・事業所から有効な回答を得た最新の情報です。今回は本調査結果に記載されている各データの中から注目すべきデータを4点ほどピックアップし、皆様へお伝えしてまいります。




「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」事業者として確認・注目すべきデータとは

では早速、中身の確認に移ってまいりましょう。
先ずは「介護職員処遇改善加算」の全国取得状況についてです。

下記表をご覧ください。

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加算を取得している事業所が全体の中の94.1%。中でも加算(I)を取得している事業所が約80%にまで至っており、本加算が既に現場にしっかりと浸透していることが分かります。

それでは次に、「介護職員特定処遇改善加算」の全国取得状況についてです。

下記表をご覧ください。

https://carebp.com/img_useful/img_120_2.jpg

こちらは取得事業所が全体の中の72.8%。一方、加算(I)の取得率は39.6%と約半分(正確には取得事業所の内の約54%)となっています。処遇改善加算に比べると浸透率は低く映りますが、本加算の導入が令和元年10月だったことを考えると、かなりのスピードで浸透してきていると見ることも出来るでしょう。

また、給与等の引き上げの実施方法を見ると「定期昇給」が最も多く(74.5%)、中でも特養や老健においては9割を超す事業所が定期昇給を行っている(予定している)こともあらためて認識すべきポイントではないかと思われます。

下記表をご覧ください。

https://carebp.com/img_useful/img_120_3.jpg

続いては「平均給与額の状況」についてです。
【1】 ちなみにここでいう「給与」とは、基本給、各種手当、ボーナスなどを合計した税金・保険料等の控除前金額を意味しています。
【2】 ボーナスや一時金などがあった施設・事業所では、令和3年4月から9月までに支給された総額の6分の1が足されています。
【3】 各種手当は夜勤手当、時間外手当、研修手当、感染対策手当、交通費なども全て含まれています。

下記表をご覧ください。

https://carebp.com/img_useful/img_120_4.jpg

介護職員等特定処遇改善加算(I)~(II)を取得(届出)している事業所における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額が令和2年9月と令和3年9月を比較すると7,780円の伸びとなっており、上記加算の効果が着実に表れているものと思われます。




「処遇改善の推進」が与える経営への影響を冷静に分析・整理することが必要

以上、簡略ながら、国が公表するものの中で最新の処遇改善状況について確認をしてまいりました。施設系や在宅系のサービスが全て含まれた上での「平均値」であることを含め、自社の給与水準と単純比較を行うことは簡単ではないかもしれませんが、それでも介護施設・事業所で働く方の視点から見た場合、全てのサービスが入職・転職の選択肢になり得る(=即ち、入職・転職の際に同地域内で比較される)、ということを考えると、地域事情を勘案しつつも、あらためて「自社の給与は全国平均(或いは地域平均)と比べるとどの程度の水準なのか」という認識を持っておくことは経営者として重要なことだと思われます(勿論、介護職員の入職・転職理由が“給与”だけに偏っている訳ではない、という側面も理解した上で)。

他方、今回のデータからは話が少々飛躍してしまいますが、上記情報に加えて

【1】 令和4年10月からは「介護職員等ベースアップ等支援加算」が開始され、社会保障費の更なる積み上げが行われること(=利用者負担の増加や第1号被保険者の保険料増加にもつながること)
【2】 【1】の状況を論理的に考えた場合、次期(2024年度)法改正においては事業者へ支払われる基礎報酬の検討が厳しめに行われる可能性が高いこと
【3】 経営現場においては上記人件費に比例する形で増加する経費等も増大していくこと(例えば福利厚生費や研修費等)

等を考えた場合、各種加算をフルに取得・活用したとしても、介護事業者の経営環境はますます厳しくなる可能性が高くなるかもしれないことは、自然な予測として明らかであるようにも思われます。

経営者の皆様としてはこれらの変化を冷静に捉え、今後の経営戦略をあらためて練り上げる必要があるのではないか、ということを提言しつつ、本記事を締めさせていただきます。

我々としても今後、引き続き更なる情報収集を行い、新たに有益な情報が入り次第、皆様へ迅速にお伝えするよう努めてまいります。


※上記内容の参照・引用元資料はこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24699.html
https://www.joint-kaigo.com/articles/2022-03-24-2.html






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