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「通所介護のあり方に関する調査研究事業」報告書より
2014年06月26日

デイサービスの未来に対する提言

要支援者地域移行の経過期間本格開始と共に、次年度法改正の大きな目玉となっている通所介護事業。

平成25年3月に出された調査研究報告書「地域包括ケアシステムの構築における今後の検討のための論点」では、通所介護について、以下のような記述が為されています。

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(1)通所介護については、その機能に着眼し、預かり機能(レスパイト)に特化したサービス、機能訓練を中心とした自立支援の要素の強いサービス、専門性を持って認知症ケアに特化したサービス、ナーシング機能を持つサービス、等に分類・整理することができるのではないだろうか。
(2)前述の通所介護の機能に着目した区分に基づき、それぞれのサービスが報酬に見合ったサービスを提供しているか、あるいは「サービスの提供に専門性を必要とするか」といった視点から、介護報酬にメリハリをつけることについて、検討すべきではないだろうか。
(3)比較的高額の基礎的な介護報酬点数に、個別の機能を加算によって評価する現行の報酬体系を改め、すべての機能区分に共通している預かり(レスパイト)機能部分を薄く報酬で評価した上で、専門性の高い機能をより高く評価するといった介護報酬の仕組を採用することについて検討すべきではないだろうか。

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これらの内容を踏まえつつ、今年(平成26年)の5月には「通所介護のあり方に関する調査研究事業」報告書が開示されました。今月のニュースレターでは、本報告書で新たに語られたポイントについて確認していきたいと思います。



抑えるべきポイント・視点とは?

全262ページからなる分厚い報告書ですが、特に我々事業者が認識しておくべき内容としては、「認知症対応機能」「重度者対応(要介護・医療ケア対応)機能」「心身機能訓練~生活行為力向上訓練機能」と共に、新たに「地域連携拠点機能」という視点が加えられている点です。

ちなみに、地域連携拠点機能については、下記の言葉が解説として添えられています。

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認知症の人や軽度から中度、重度の要介護までを利用対象とし、また中重度の要介護で医療ケアの必要な人、難病等含めたターミナル期の人、統合失調症やうつなど精神疾患の人等を含め、多様な要介護高齢者等の通所介護サービス利用の受け皿となり、地域包括支援センターや地域の医療機関、訪問看護、各種生活支援セクター、NPO、自治体・町内会等と協力関係を持ち、住民の身近な相談窓口としての機能に留まらず、地域包括支援センターのブランチ機能を発揮することが期待される。
また、圏域の同業の通所介護事業所との情報共有や共同研修の実施等を通して通所介護事業全体の質の向上を図る調整、まとめ役として、地域のマネジメント力を持つ事も期待される。
さらには、事業所が有している土地や施設等を地域に開放し、地域の商工事業者やサービス事業者と連携し、周辺高齢者世帯等を含めた生活支援事業(例えば、巡回販売や青空市等の実施)を行って、在宅生活継続がしやすい環境づくりに積極的に参加し貢献する。この機能は特に在宅高齢者がアクセスできる圏域内で、各種生活支援サービスを利用することが出来ない地方の人口減少・高齢化が進展している圏域で特に重要となる。

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また、これらの解説と共に、「共通機能(土台となる機能)」についての絵が、本報告書には盛り込まれていました。
(最下部、◆共通機能(土台となる機能)◆をご参照下さい)



情報をキャッチ→決着をつけていく視点・習慣を養いましょう

新たに盛り込まれた本機能が、次年度以降の通所介護の未来図にどれだけ大きな影響を及ぼすかについては未知数ですし、本機能を小規模・中規模の事業者が保有出来るかどうか、という視点から考えても、未だよく見えない部分が多い、というのが、本件に対する筆者の正直な感覚です。しかし、相応の影響力を持つであろう調査研究報告書にこのような文言が記されている、ということは、特に一定程度の規模を持つ地域の医療法人や社会福祉法人、民間事業者としては心に留めておく必要があるでしょう。いずれにせよ、行政側から発信される情報については敏感に反応しつつ、取捨選択を含め、一つ一つ、頭の中で決着をつける習慣を持つ事が必要だと言えそうです。

我々としても今後、新たな情報が入り次第、皆様にもご報告をさせていただきますが、是非、自社として、現段階からも検討・準備を進めることが出来るかどうかについては、早めに社内で議論を進めておくことをお奨めします。

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