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「質の評価に関する調査研究事業」のポイントをおさえておきましょう。
2014年04月28日

「質の評価」への議論が更に活発になってきています。

2006年(平成18年)以降、社会保障審議会介護給付費分科会における今後の課題として明確に位置付けられた「介護の質の評価」。平成21年(2009年)には質の評価に関する検討委員会が設置されました。
また、最近、私たち介護業界でも話題になっている「産業競争力会議」では、質の評価について、次のような言葉が示されています(下記は、産業競争力会議 医療・介護等分科会 中間整理資料より抜粋)。

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介護サービスの質の改善に向けては、最終的には事業者毎のサービスの質の評価を利用者に提供すると同時に、サービスの質の評価を活用した介護報酬制度の改革を行い、質の改善に対するインセンティブを付与することを目指すべきである。このため、まずは、サービス種別や運営形態の特性を踏まえた質の評価に向けた仕組み作り(評価対象施設や評価項目・分析手法などの評価手法、情報公開等)について、平成26年度末までに検討し、その結果を公表する。
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今後、社会保障財政が益々厳しさを増す中で、費用対効果、即ち、「質の高い事業者に限りある財政を投入し、有意義な介護機能を確立する」という方向性が強まることは、当然と言えば当然と言えるでしょう。そこで、今回のニュースレターでは、同テーマに関する現時点のポイントについて、確認しておきたいと思います。



抑えるべきポイント・視点とは?

少々固い言葉が並んでいますが、先ずは、最下部、◆介護業界におけるドナベディアンの質評価モデル◆をご覧ください。これは、「介護保険サービスにおける質の評価に関する調査研究事業」の結果概要資料において示された資料です。

質の評価に関しては医療分野が先行して進められており、そこには、「ドナベディアンの質評価モデル」という概念が活用されています。簡単に言うと、医療の質を「ストラクチャー(構造)」「プロセス(過程)」「アウトカム(結果)」の3つの視点から評価する、という評価方法であり、介護業界に照らし合わせてみると、上記の表のように整理・分類することが出来る、というものです。
他方、「質の評価」に関しては、第81回介護給費費分科会(2011年(平成23年)10月7日)において、次のような指摘が為されており、その考えは現在も踏襲されています。

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○介護サービスは、施設サービスと居宅サービスに大別されるが、施設サービスについては基本的にほぼ全てのサービスが単一事業所により提供されていることから、施設入所者の状態等は当該施設のサービス提供の結果とみなすことが可能である(※アウトカム評価が可能、という意味)。

○一方、居宅サービスについては、サービス提供事業所が複数にまたがること、地域ごとの事業所整備状況やケアプラン、家族によって提供される介護も利用者の心身の状況等に一定の影響を与えることから、個別の事業所単位ごとのサービスの質の評価が困難である(※ストラクチャー評価、プロセス評価を中心に据えるのが合理的である、という意味)。
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上記視点に基づき、先ずは「質の評価」に関してモデルが構築しやすい(国内に先進事例が存在する、という意味で)「老人保健施設」「通所介護」「居宅介護支援」の3サービスが取り上げられ、評価指標の構築が進められています。まだ検討過程であるため、これ以上の言及は差し控えますが、先ずは、

1. 質の評価は「ストラクチャー」「プロセス」「アウトカム」の視点に基づいて進められること
2. 3つの視点については、サービスによって比重が変わってくること

以上2点しっかりとおさえておいていただきたいと思います。
(更に詳しい情報をお求めの方は、下記URLにアクセスして内容をご確認下さい)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000042450.html



自社サービスの「質の評価」の在り方について、意識を持っておきましょう。

今後、介護報酬の上昇に期待が持ちにくい中、質の評価によるインセンティブは、経営的に大きな武器になる可能性もあるでしょう(自社の質を高めるという意味でも、顧客へのアピール、という意味でも)。今、既に存在しているインセンティブの切り口(体制加算etc)も含め、是非、このタイミングから、「介護サービスの質を高める」ことに対し益々真剣に捉えると共に、如何にして「質に対する自らの価値観」と「国からのメッセージ」を両立させるかについて、柔軟に考えていくべきではないでしょうか。

我々としても今後、本テーマに対して新たな情報が入り次第、皆様にもご報告をさせていただきますが、是非、現段階でも検討・準備を進めることが出来るであろう内容については、早めに社内で議論を進めておくことをお奨めします。

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