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「産業競争力会議 医療・介護等分科会」中間整理のポイントを理解しておきましょう。
2014年01月27日

介護保険部会が最終提言書をとりまとめ⇒公表へ。

昨年の6月に発表された、安倍政権の経済戦略の屋台骨とも言える「日本再興戦略」。
本戦略に基づき、今後の日本にとってますます重要となる「医療・介護分野」に関し、「産業としての競争力をどのように高めていくか」について集中的に議論を行っていた「産業競争力会議 医療・介護等分科会」が、6回の議論を経て、昨年末に中間整理を発表しました。
今までの介護業界は、厚生労働省の施策にさえ気を配っていれば情報に乗り遅れることはない、という環境に在りましたが、2010年以降、国が医療・介護分野を正式に「経済成長分野」と位置付けた事に始まり、社会保障・税一体改革や今回の日本再興戦略、または内閣府の実践キャリアアップ戦略(キャリア段位制度)等、厚生労働分野だけではなく、経済産業やその他の分野においても医療・介護分野に関する議論が活発に繰り広げられています。
そのような背景を踏まえ、過去のニュースレターでも何度か「産業競争力会議」の議論プロセスについてお伝えしてまいりましたが、本ニュースレターでは、中間整理の公表を受け、あらためて重要なポイントについて抜粋・確認をしてまいります。



抑えるべきポイント・視点とは?

多くの整理が為されており、かつ、どちらかというと医療分野の話題が多い本整理ですが、その中には介護事業者として絶対に踏まえておかなければならないポイントも含まれています。
特に重要と思われる項目・内容は下記の通りです(一部、表現変更あり)。


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【1】日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)」では、(中略)、医療介護分野について、「制度の設計次第で巨大な新市場として成長の原動力になり得る分野である。」とした上で、「どう成長市場に変え、質の高いサービスを提供するか、制度の持続可能性をいかに確保するかなど、中長期的な成長を実現するための課題が残されている。」とした。
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→上記文言が、産業競争力会議にて議論が行われた発端になっていることを理解しておきましょう。


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【2】複数の医療法人及び社会福祉法人等を束ねて一体的に経営することを法制上可能とする非営利ホールディングカンパニー型法人(仮称)を創設する。
・新法人が、医療法人や社会福祉法人等の傘下法人を社員総会等を通じて統括できるようにする。
・医療法人や社会福祉法人の構成員となれる者の範囲について、法人も社員等に認める等、現行の規制の緩和について検討する。
・新法人の下でグループが迅速かつ柔軟な経営判断を行えるよう、法人の意思決定方式の自由度を高める。
このため、議決権その他の新法人の意思決定・ガバナンスに関する事項について、定款で自由に定めることを可能とする等の措置について検討する。
・グループとしての経営の一体性・効率性の確保、緊密な業務連携を可能とするため、資金調達の円滑化や余裕資金の効率的活用を可能とする。このため、グループ内法人間での金銭の貸付や債務保証を認めることや、グループ内法人間での剰余金の効率的活用を可能にする等の措置について検討する。
・新法人及び傘下法人からなるグループが、地域包括ケアを担う医療介護事業等を行う営利法人と緊密な連携を行うことを可能とする。このため、新法人から当該事業を行う営利法人への出資を認める等の措置について検討する。

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→上記内容等については、平成26年中に検討することとなっています。となると、法整備が進み、早ければ平成27年(2015年)以降には具体的な動きが始まる、と考えておいた方が良いでしょう。


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【3】介護サービスの質の改善に向けては、最終的には事業者毎のサービスの質の評価を利用者に提供すると同時に、サービスの質の評価を活用した介護報酬制度の改革を行い、質の改善に対するインセンティブを付与することを目指すべきである。このため、まずは、サービス種別や運営形態の特性を踏まえた質の評価に向けた仕組み作り(評価対象施設や評価項目・分析手法などの評価手法、情報公開等)について、平成26年度末までに検討し、その結果を公表する。
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→以前より、レベルが高い事業者(=要介護度の改善を促進出来る事業者)ほど報酬が下がる、という矛盾について問題視されてきましたが、それらを改善する動きについて、「平成26年度末までに検討、結果を公表」とされています。この部分は、我々介護事業者にとって、大いに期待が出来るところではないでしょうか。


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【4】高齢化の進展に伴う医療と介護等の連携の促進を図る観点から、看護師、介護福祉士、薬剤師等の医師以外の者が携われる医療行為等の範囲を明確化するなどして、医師以外の者の役割を拡大していくことが必要である。(中略)。このため、看護師、介護福祉士、薬剤師等の医師以外の者が携わることができる業務の範囲の在り方について検討し、結論を得た上で必要に応じて平成26年中に所要の措置を講じる。
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→今後、介護分野の有資格者にも、医療的対応がますます求められてくることは間違いありません。また、本内容について、「平成26年中に所要の措置を講じる」等、比較的スピード感を持って進められる可能性が高いと見ておいてよいでしょう(場合によっては27年法改正にも関連してくるかもしれません)。


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【5】世界に誇る我が国の介護サービスの海外展開は、介護分野の経済成長の観点のみならず、国際協力の観点からも重要であることから、介護事業者の積極的な海外展開に資する必要な支援を講じる。
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→「介護は国内産業」と思われている方もいらっしゃいますが、今後、特にアジアは一気に高齢化が進む国が数多く存在しています。その意味では、私たちもそのような視野を持って活動していくことも面白いかも知れませんね。


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【6】ロボット介護機器開発5カ年計画の実施等
・新製品の市場投入を積極的に進めるべく、ロボット介護機器開発5カ年計画を着実に遂行する。関係省庁が密に連携を図り、シーズ・ニーズマッチングを行い、使えるロボットの早期導入・促進を図る。

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→今後、労働環境の向上を推進するにあたり、様々なロボットやIT技術が開発されることになるでしょう。私たち事業者としても、そのような情報に敏感になり、対応していく必要があると言えそうです。



“次の一手”に向けて、頭の中でウォーミングアップを始めておきましょう。

「社会保障制度国民会議最終報告書(2013年8月6日報告)」「介護保険制度の見直しに関する意見(2013年12月20日報告)」に引き続いて本会議の中間報告が発表されたことにより、今後の介護業界の動きを総合的に予測するための「素材」はほぼ出揃ってきた、と考えても過言ではないでしょう。介護事業経営者としては本報告書と共に前述の2つの報告書にもあらためて目を通し、自社にどのような影響が生まれるか?等についてしっかりシミュレーションを行うと共に、それらに対する対応策についても早めに検討を進める必要があると言えそうです。我々としても更なる情報、もしくは新たなアイデアやヒントを皆様に提供出来るよう、より一層意識を強めてまいります。

(参考)
「社会保障制度改革国民会議最終報告書(2013年8月6日報告)」を再度確認したい方はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/pdf/houkokusyo.pdf
「介護保険制度の見直しに関する意見(2013年12月20日報告)」を再度確認したい方はこちら
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000033012.html
「産業競争力会議 医療・介護等分科会中間整理(2013年12月26日報告)」を再度確認したい方はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/iryou/pdf/tyuukanseiri.pdf



【番外情報】消費税増税による介護報酬見直し・改訂

2014年4月1日より消費税が5%→8%に上昇するのを受け、介護報酬についても見直し・改訂が行われ、2014年1月15日に公式発表が行われました。まだご覧になられていない方は、早急に確認することをおススメします。
 ↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000034731.html




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