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非営利法人の“統合”スキーム整備議論が進んでいます。
2013年11月27日

“競合”ではなく、“協調” ~社会保障制度改革国民会議最終報告書より~

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医療法人等の間の競合を避け、地域における医療・介護サービスのネットワーク化を図るためには、当事者間の競争よりも協調が必要であり、その際、医療法人等が容易に再編・統合できるよう制度の見直しを行うことが重要である。このため、医療法人制度・社会福祉法人制度について、非営利性や公共性の堅持を前提としつつ、機能の分化・連携の推進に資するよう、例えばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある。複数の医療法人がグループ化すれば、病床や診療科の設定、医療機器の設置、人事、医療事務、仕入れ等を統合して行うことができ、医療資源の適正な配置・効率的な活用を期待することができる。
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今年の8月6日に提出された、社会保障制度改革国民会議の最終報告書28ページに記載された文章です。
「医療法人等」と記載されている部分については、「医療法人並びに社会福祉法人等」と読み替えることも可能でしょうし、もしくは、“当事者間の競争よりも協調が必要”という点においては、営利・非営利を問わず、幅広い“介護事業者”もその対象と捉えることも必要かもしれません。
今、この文言に関連する活動が、「産業競争力会議」という枠組みの中で、活発になってきていますが、今回は、これらの代表的な動きについて皆様にご紹介させていただきます。


医療法人や社会福祉法人が名実共に“グループ化”する仕組みを整備

産業競争力会議においては、上記報告書に関連する動きとして

 〇医療法人の合併規制等の見直し
  →現在は、社団医療法人と財団医療法人は合併できないが、一般社団法人と一般財団法人の合併同様、認めてはどうか。

 〇医療法人の附帯業務の拡充
  →医療、介護のシームレスなケアを提供するため、医療法人が所有する病院・診療所等の遊休スペースや施設に隣接する不動産を病院・診療所・介護施設・高齢者向け住宅の用途に使用することを目的とした賃貸事業を附帯業務として認めてはどうか。

 〇自治体病院等の公設・公的病院の医療品質情報の更なる開示

 〇社会医療法人の認可要件の緩和

 〇社会福祉法人の透明化

 〇病床機能分化の推進

等々に関する議論が進められていますが、中でも、最もインパクトが大きいと思われるのが、最終報告書の中にもそのままの言葉が記載されている「非営利ホールディングカンパニー」スキームの創設についてです。
「非営利ホールディングカンパニー」の核となる法人形態は、現状において大多数を占める“社団医療法人”となることを中心に議論が進められており、それらの実現のために、様々な法律や仕組みの変更が論じられていますが、その中でも「社員等の要件」に関する変更議論は要注目の内容です。
細かな説明は省きますが、イメージで言うと、下記の図のようなホールディングカンパニーが出来上がる、という理解で差し支えないと思います。(最下部、◆非営利ホールディングカンパニーについて◆をご参照下さい)

現法律では、医療法人の社員等の要件は自然人(我々のような人間)に限られており、法人は社員となれないこととされていますが、その部分を、「医療法人や社会福祉法人などの非営利団体であれば、非営利ホールディングカンバニー型医療法人の社員になることを認めてはどうか。併せて、非営利ホールディングカンパニー型医療法人は、グループ内の非営利団体の構成員になることを認めてはどうか。」という変更案が持ち上がっています。
これ以外にも、社員総会等の意思決定の在り方や出資規制等の見直し、剰余金の分配等々、上記の実現のために様々な改革案が活発に議論されています。


早目の情報収集と地域の動きに敏感に!

国策として、医療・介護分野を今後の日本における“数少ない成長産業”として捉えている今、厚生労働省だけではなく、経済産業省や内閣府等、様々な省庁に亘り、様々な議論が横断的に始まっています。我々事業者としては、これらの国策的なレベルの情報収集をしっかりと行うと共に、自身の“地場”の動きにもしっかりと目を配っておく必要があるでしょう(上記のような制度変更を見越し、既に水面下でグループ化を検討し始めている法人・地域は数多く存在しています)。
波に乗り遅れることなく、情報感度を高めながら、今後の動静をより一層、注視する必要があると言えそうです。我々としても更なる情報、もしくは新たなアイデアやヒントを皆様に提供出来るよう、より一層意識を強めてまいります。



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