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平成25年度における国の介護関係予算の概要を把握しておきましょう。
2013年03月27日

国家予算の配分は、次年度活動の羅針盤。

来月より、いよいよ平成25年度が始まります。介護保険法の改正等、平成24年度は大きな動きがあった介護業界ですが、来年度はどのような動きに重点がおかれてくるのでしょうか?
それらは、介護保険制度運営の中心機関である厚生労働省の次年度予算案を見れば一目瞭然です。衆議院を通過し、参議院での審議を経て正式決定されるまでにはあと約1ヶ月ほどかかる見込みですが、大きな変化は先ずないと考えて差支えない現状に置いて、事前にその内容を掴んでおくことは我々介護事業者にとっても大変重要なことです。今回の記事では、平成25年度の介護保険関連の予算概要と重点項目について確認していきたいと思います。


平成25年度老人保健福祉関係予算案の概要。

総額としては、平成24年度予算として計上されていた2兆4,314億円を若干上回る金額(2兆5,842億円)が計上されています。主要な内訳としては、下記の通りです。

1.認知症を有する人の暮らしをまもるための施策の推進(34億円)
昨年9月に策定された「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」の着実な推進を図り、全国の自治体で、認知症の人とその家族が安心して暮らしていける支援体制を計画的に整備するための予算です。
具体的な項目としては大きく4つ、細かくは12の内容が掲げられています。
(1)各市町村による認知症ケアパス(状態に応じた適切な医療や介護サービス提供の流れ)の作成・普及
(2)認知症の早期診断・早期対応の体制整備
 -かかりつけ医などの認知症対応力の向上(≒研修の実施?)
 -認知症初期集中支援チームの設置とモデル事業の実施(≒認知症疾患医療センターの整備含む)
(3)地域生活をささえる医療・介護サービスの構築及び日常生活・家族支援の強化
 -病院勤務の医療従事者向けの研修の実施
 -病院・介護保険施設などでの認知症対応力向上の推進
 -認知症ケアに携わる多職種の協働研修の実施
 -グループホームなどでの在宅生活継続支援のための相談・支援の推進
 -認知症地域支援推進員の配置の促進
 -市町村の高齢者虐待防止対応の推進
 -市民後見人の育成とその活動への支援の充実
 -認知症の人の家族への支援の推進
(4)地域ケア会議の推進

2.安定的な介護保険制度の運営(2兆5,540億円)
地域包括ケアシステムの実現に向け、各保険者が策定した平成24年度からの「第5期介護保険事業計画」に基づく介護サービスの実施などに必要な予算が計上されています。

3.地域での介護基盤の整備(51億円)
地域包括ケアシステムの実現に向け、高齢者が住み慣れた地域での在宅生活を継続することができるよう、定期巡回・随時対応サービス、複合型サービス事業所などを開設する際の備品購入などの経費について財政支援を行うための予算です。また、都市型軽費老人ホームなどの整備に必要な経費について財政支援を行うとともに、新たに高齢者の生きがい活動や地域貢献などを目的としたNPO法人などの非営利組織の活動拠点となる「地域支え合いセンター」のモデル的な整備に必要な経費についても支援を行います。

4.「生涯現役社会」の実現に向けた取り組みの推進(32億円)
生涯現役社会を実現し、企業退職高齢者などが地域社会の中で役割をもって生活できるよう、一定の収入を得ながら自らの生きがいや健康づくりにも繋がり、介護予防や生活支援のモデルとなる有償ボランティア活動などの立ち上げや、老人クラブ活動への支援を行うための予算です。なお、有償ボランティア活動などのモデル的な活動の立上げの際、拠点整備が必要な場合には、「地域支え合いセンター」を設置することが想定されています。

5.その他主要事項(86億円)
(1)福祉用具・介護ロボットの実用化の支援
(2)介護支援専門員の資質向上
(3)介護サービス情報の公表制度の着実な実施
(4)市町村介護予防強化推進事業
(5)低所得者への配慮
(6)次期介護報酬改定に向けた取り組み

6.東日本大震災からの復興への支援
(復興庁計上)(99億円)
(1)介護施設・事業所などの災害復旧に対する支援
(2)介護などのサポート拠点に対する支援
(3)警戒区域などでの介護保険制度の特別措置


自社の経営に関連するキーワードがないかを確認~介護経営者の心構えと事前準備~

前述の通り、予算とその項目には、国としての意思が反映されていると考えるべきであり、その意味でも、我々介護事業経営者には特に、このような情報に敏感に反応する感性が求められます。
予算案が成案化され、具体的に私たちの経営現場に反映されるまでには数か月かかると思われます。今のうちに自社の経営戦略との整合性を確認し、活用出来そうな内容に関しては頭に留め、然るべき段階でスムーズに自治体や関係機関との協議・相談にうつることができるように頭を整理しておいた方が良いのではないでしょうか。
我々としても、今後、上記を含め、介護経営に有益な情報が入り次第、皆様へ発信させていただきますし、有益な対応策等があれば積極的にご提案をさせていただくようにしてまいります。

※厚生労働省予算について更に詳しく知りたい方はこちら
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/13syokanyosan/gaiyou.html

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