介護経営情報 介護助成金情報

令和3年度 介護労働実態調査結果 のポイントを把握しておきましょう
2022年08月30日

「介護労働実態調査」の調査結果が発表

2022年8月22日、平成15年度から続く「介護労働実態調査」が公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。

今回は、特に認識・確認しておいた方が宜しいかもしれない情報・データを大きく9点、ピックアップして皆様にお届けさせていただきたく思います。「さて、この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。




「介護労働実態調査」で特に認識・確認しておいたほうが良いデータ

では、早速、中身に移ってまいりましょう。まずは1番目、「人材不足感の推移」データです。

https://carebp.com/img_useful/img_124_1.jpg

介護事業所全体における人材の過不足状況は、「大いに不足」は8.5%、「不足」は21.5%、「やや不足」は33.0%、「適当」は36.6%、「過剰」は0.4%となりました。また、「大いに不足」「不足」「やや不足」を合計した「不足感」を経年で見ると、令和3年度は前年を上回り、63.0%となったようです。人財不足が叫ばれて久しい介護業界ですが、一方では全体の約3分の1前後の事業者が「適当」「過剰」と答えている点が興味深いところです。

続いて2番目のデータ、「従業員の過不足状況(職種別)」に移ってまいります。

https://carebp.com/img_useful/img_124_2.jpg

職種別の不足感では、訪問介護員が80.6%(前年80.1%)で最も高く、次いで介護職員が64.4%(同66.2%)という結果となりました。また、介護サ-ビスに従事する従業員の過不足状況は、全体では「適当」が36.6%で最も高く、次いで「やや不足」が33.0%となっている状況です。

続いて3番目のデータ「離職率の経年推移(訪問介護員と介護職員の2職種計)」に移ってまいります。

https://carebp.com/img_useful/img_124_3.jpg

令和3 年度の2職種(訪問介護員、介護職員)の離職率は14.3%(前年14.9%)。離職率は、平成19年をピークに低下傾向で推移しています。ピーク時(21.6%)の約3分の2まで低下していることを考えると、事業所での様々な取り組みは勿論、国、地方自治体の政策などが奏功していると見ることが出来るかもしれません。

また、4番目のデータ「離職率の経年推移(訪問介護員・介護職員)」を見ると、訪問介護員は13.6%。令和2年度には一旦上がったものの、そこから2ポイントの改善となっています。また、介護職員は訪問介護員と比較すると14.6%とやや高めの数値となっていますが、経年で見ると平成27年度の17.6%をピ-クとし、その後は着実に減少傾向となっているようです。

https://carebp.com/img_useful/img_124_4.jpg

続いて5番目のデータは「離職率の経年推移(主とする介護サービス別)」。特定施設入居者生活介護がすべての年度で離職率が最も高くなっているようです。

https://carebp.com/img_useful/img_124_5.jpg

続いて6番目のデータは「事業所規模別離職率比較(2職種計)。規模が小さい事業所の方がどうしても離職者一人当たりの離職率が高まり、それ故、その他の規模と比較するとどうしても高めに推移してしまう、という側面があることも含んで参照する必要はあろうかと思います。

https://carebp.com/img_useful/img_124_6.jpg

続いて7番目のデータは、「離職階級別に見た事業所の割合(職種別)」。訪問介護員のいる事業所は、「10%未満」が58.1%、「30%以上」が16.4%であったのに対し、介護職員のいる事業所では、「10%未満」が50.5%、「30%以上」が20.1%となっています。全体として「離職率10%未満」が全て最大となっている、という点も認識しておくべき側面かもしれません。

https://carebp.com/img_useful/img_124_7.jpg

続いて8番目のデータは少し角度を変えて、「離職率の経年推移(産業別比較)」。離職率が高い、との風評が高い介護業界ですが、介護業界よりはるかに高い離職率となっている業界が実際には幾つも存在している、という点が大変興味深いところです。

https://carebp.com/img_useful/img_124_8.jpg

そして最後、9番目のデータは「早期離職防止や定着促進のための方策(介護保険サービス系型別)」。「本人の希望に応じた勤務体制にする等の労働条件の改善に取り組んでいる」が66.6%で最も高く、次いで「残業を少なくする、有給休暇を取りやすくする等の労働条件の改善に取り組んでいる」が62.1%、「職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている(定期的なミーティング、意見交換会、チームケア等)」が51.3%となっています。

また、介護保険サービス系型別でみると、施設系(入所型)は「残業を少なくする、有給休暇を取りやすくする等の労働条件の改善に取り組んでいる」が最も高く、それ以外の区分では「本人の希望に応じた勤務体制にする等の労働条件の改善に取り組んでいる」が最も高くなっているようです。

https://carebp.com/img_useful/img_124_9.jpg





自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討

以上、9点ほどデータをピックアップして概要・ポイントをお届けいたしました。まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。

介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。

私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。


※上記内容の参照先URLはこちら

令和3年度介護労働実態調査結果報告書
http://www.kaigo-center.or.jp/report/2022r01_chousa_01.html





▲ PAGETOP