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令和3年版「高齢社会白書」のトピックスを確認しておきましょう
2021年06月29日

2021年6月11日、政府は令和3年度版の「高齢社会白書」を公表

高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年、政府が国会に提出している「高齢社会白書」。高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、また、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について明らかにすることを目的に作成されている同報告書ですが、中には介護事業者の皆様にとって新たな“気付き”につながったり、或いは“(未来に向けた)ヒント”を感じさせるような情報も含まれているように感じます。

今回は、介護経営者の皆様が未来を考える上で、“味付け”の一つとして認識しておいていただいた方がいいかもしれないな、と感じた情報2点に絞り、一部抜粋する形でお伝えさせていただきたく思います。





「令和3年版高齢社会白書」抜粋2点のトピックスとは

では早速、抜粋した内容の中身を確認してまいりましょう。
先ずは一つ目、「高齢者の就労意欲」についてです(重要ポイントは太線としています)。

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〇新型コロナウイルス感染症の拡大により就労へ影響が出ているものの、日本の高齢者は高い就労意欲を持ち続けており、就労継続のためのテレワークの一層の推進等が必要

就労についてみると、収入を伴う仕事をしている各国の 60歳以上の人のうち、日本、アメリカ、ドイツの約 3割、スウェーデンの約 1割が、新型コロナウイルス感染症の拡大により、「仕事をする日数や時間数が減った」と回答している。
こうした中、平成 27年度調査結果と同様に「収入の伴う仕事をしたい(続けたい)」と回答している割合は、日本が 40.2%と各国の中で最も高くなっており、コロナ禍においても、依然として日本の高齢者の就労意欲の高さが表れている。今後とも我が国において高齢化の進行が見込まれる中、高齢者に対して、多様なニーズに対応した就業機会の提供を図るとともに、テレワークの一層の推進などコロナ禍で感染防止をしながら就労が継続できる取組が求められる。

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下記グラフも合わせてご覧ください。

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「将来に対する不安(=可能な限り収入を得続け、老後の経済的な不安を減らしたい)」という裏側の意向も併せて議論に上がる「就労意欲の高さ」ですが、それらの側面だけでなく、「社会への参加」「生きがいづくり」という観点からも本テーマは大変重要な要素ではないかと思われます。事業者としてはこのキーワードを踏まえた未来の事業づくりを考えていくことも重要エッセンスの一つなのかもしれません。

最後、2つ目の抜粋は「コミュニティにおけるつながり」についてです。

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〇互いに相談しあったり、病気の時に助け合う高齢者の割合は、日本が最も低い

日本は近所の人との付き合いについて、「相談ごとがあった時、相談をしたり、相談されたりする」、「病気の時に助け合う」と回答する割合が、他国と比較して最も低い水準となっており、また、家族以外の人で、相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人がいない割合は最も高い水準となっている。

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下記グラフも合わせてご覧ください。

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様々なメディアで採り上げられたデータであるため、既に目にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、あらためて上記比較表を見ると、日本の超高齢社会に潜む潜在リスクの大きさを感じてしまいます。

事業の焦点が「個人(高齢者)」から「地域」へと変わりつつある法人も多い中、この課題にどう取り組むべきなのか?是非、そんな観点で思考を深めていく一助としていただければ幸いです。




国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、令和3年度の高齢社会白書より2点ほど抜粋してお伝えさせていただきました。
ちなみに上記資料の後段には結論・総括的な位置づけとして、次のようなメッセージが添えられています。

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○高齢者が孤独・孤立に陥らないよう、社会活動の参加を促す取組や見守りの支援が必要

政府としては、新型コロナウイルス感染症による影響が長引く中、令和 3年 2月、内閣官房に孤独・孤立対策担当室が設置され、政府一体となって孤独・孤立の対策に取り組む体制が整えられたが、高齢者が望まない孤独に陥らないようにしたり、地域社会から孤立しないよう、ICTの利活用促進など感染防止に配慮しつつ、社会活動の参加を促す取組や見守りの支援の推進が求められる。

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上記を含め、本白書は「定例年次報告書」という意味合いだけでなく「(今後、こうしたい、という)国からのメッセージ」が含まれている、と認識することも必要です。

事業者としては上記2点は勿論、他の内容にも出来れば目を通していただき(先ずは目次に目を通し、関心が高い部分を抜粋する方法でも宜しいかもしれません)、「もしこれらのデータが施策に反映されるとしたら、どのような変化が起こるだろうか?」「自社としてどのような対応を進めるべきだろうか?」と主体的に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。

私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html




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